第11章 アップル・グリーンscene1-2
お湯がたまったのでリビングに戻り、相葉さんにバスタオルを差し出した。
「風呂はいってこいよ」
「え?いいよ。家帰ったらはいるから」
「おまえ、髪の毛も泡まみれだったんだぞ?」
「えっ!?マジで!?」
「早く落とさないと、痒くなんだろ?」
「えー…マジかぁ…」
「ほら、手貸して」
あんまりにもへなちょこな動きだったので、手を差し出した。
「だっ、大丈夫なのに…」
照れて、手を取ろうとしない。
「ふーん…」
人がたまに優しくしてやれば…
絶対痛いくせに…
無言で、腰をビシっと指で弾いた。
「あっいってーーーーー!!」
「ほら、言わんこっちゃない…」
そう言ってやると、相葉さんは『信じられない』という顔をして俺を見た。
うん。満足。
涙目の相葉さんを脱衣所まで連れて行って。
「あんま、温めんなよ?」
そういって、脱衣所のドアを閉めた。
部屋に戻り、寝室とさっき洗ってくれた服の中から、相葉さんのサイズにあった服を探した。
だぶだぶなスエットも好きなので、なんとかサイズが合いそうなものがあった。
それをそっと脱衣所においておいた。
つんつるてんじゃ、かわいそうだし。
俺の腹筋がもたない。