第11章 アップル・グリーンscene1-2
いつの間にか寝てたらしい。
ずいぶんと寝てたらしく、身体が楽になってる。
気がつくと、頭の下の温かい膝は居なくなってて。
舌打ちしたい気分でバスルームへ行った。
俺が風呂掃除って言ったから、真に受けてるはずだ。
脱衣所の前まで来ると、水音が聞こえた。
やっぱり…掃除してる。
脱衣所に入り、浴室のドアを開ける。
「相葉さーん…やらなくていいっていったのに…」
「あ、もう終わるから。ねっ。待ってて」
笑顔でそう言って扉を閉めにこようとした相葉さんは、見事にすっ転んだ。
浴室に、ドサァっと鈍い音が響く。
「ちょっ…!相葉さんっ!?」
「いたたたた…」
「大丈夫!?」
「だっ、大丈夫…いててて…」
大丈夫じゃなくても、大丈夫っていうから油断ならない。
「もういいから、こっちきて?」
手を差し伸べるけど、取ろうとしない。
どうしていつも助けたいときに、こいつは助けさせてくれないんだ。
「いや、いい。大丈夫」
なんとか起き上がると、お湯をだして手と足の泡を落としている。
「後はいいから、とりあえずこっちきて」
そう言うとやっと脱衣所に上がってくる。