第11章 アップル・グリーンscene1-2
「もうすることない?」
「…んじゃ、風呂掃除」
ちょっと意地悪い気分になってた。
「はーい」
「おいっ…」
「え?」
「マジでするの?」
「え?うん?」
「…もういいから。疲れてるんでしょ?」
「えー?大丈夫だよ?病人より元気だよ?」
「俺もう熱ないし。大丈夫だから」
「だめだって。熱出した後って、案外弱ってるんだよ?」
「だーっ、もういいから」
そういうとタオルケットを剥ぎとって、相葉さんへ歩み寄る。
相葉さんの肩を掴むと、ソファへ座らせる。
ほんと、ばかだ。こいつ。
俺の言うこと、いちいち真に受けて。
一生懸命…
「すわっとけよ。もう…」
疲れてるくせに…
でもこいつは絶対に休まない。
だから俺は、相葉さんの膝に頭を載せた。
こうすれば、動かなくなる。
タオルケットを掴んで身体にかける。
「俺、汗くせーからあんまり近づくな」
ふふふと相葉さんから笑いが漏れる。
「笑ってんなよ…」
そういうと、またタオルケットを顔の半分まで引き上げる。
「じゃあ、そのまんま寝なよ。俺、ここにいるから」
そういって、俺のおでこをつついた。
「ばか…」
温かいんだよ。おまえの膝。
にこにこしてんじゃねーよ…
ばぁか…