第11章 アップル・グリーンscene1-2
急に、この顔を汚したい衝動に駆られた。
俺の気も知らないで、脳天気にまとわりついて。
俺の中にどんなどす黒いものがあるのかも知らないで。
本当はおまえを汚してやりたいと思ってるなんて。
おまえ、考えたことないだろ?
どんだけ俺が我慢してるか。
知らないだろ?
傷つけたくないんだよ……
相葉さんが身動ぎして、ハッとなった。
タオルケットを持って、そのままそっとソファへ帰る。
優しくなんかしない。
洗濯機が終了のアラームを鳴らした。
相葉さんはパタパタとリビングと洗濯機の往復を始めた。
「あのね、洗濯物多かったから、もう一回まわしてるからね?」
「ええ?そんなことまで?」
「だってちゃんと洗えないじゃん。詰まり過ぎてると」
「そーだけどさ。適当でいいのに」
「これ、どこにしまえばいい?」
「ああ、しまうくらい自分でするから、そっちの部屋に入れといて」
「わかった」
まだ、家にいるのか…
本当は追い出したい。
でも風邪を引いてたせいか、人恋しい。
自分との葛藤が続く。