第11章 アップル・グリーンscene1-2
相葉さんがパタパタしてる音をずっと聞いてた。
遠い昔に母さんやばあちゃんが立ててた音と重なった。
やっぱり家にあげるんじゃなかった。
妙な気分になってる。
俺は男で、あいつも男で。
絶対に応えられないものなのに。
今のこの状況は受け入れている自分がいて。
それに気づきたくない自分がいて。
テレビを見ながら、ぼんやりとそんなことを思っていた。
そこへパタパタの主がくる。
「ちょっと、まだ起きてるの!?寝なきゃだめだよ!」
またかあちゃんキャラだよ…
「もう、今日寝すぎて身体痛いんだよ…」
うんざりして言う。
するとパタパタはどこかへ消えた。
戻ってくると急に俺に何かが、バサっと乗っかった。
「じゃあこれだけはちゃんと掛けて?」
寝室で使っていたタオルケットだった。
「あっ!おまえ勝手に!」
文句を言ってるのに、お構いなしで全身にタオルケットを掛ける。
「じゃあ、おかあさんの言うことききなさいっ!」
ええ!?
本当におかあさんとか言い出した。
もう、かなわない…
「はーい…」
タオルケットで顔を半分かくして、笑いを堪えた。
「いいこです。かずくん」
「ばっか…」