第11章 アップル・グリーンscene1-2
「…これね、俺が小学生のときじいちゃんが俺にくれた本なの」
「そうなんだぁ」
「誕生日にね、くれたの。もう絵本はなくしちゃったけど、この前、本屋で文庫見つけて、思わず買ったんだ」
「そっかぁ。思い出の絵本なんだ」
「相葉さんも読む?」
「え?いいの?」
「うん。風邪治ったら貸してあげるよ」
「ありがとう。待ってる」
そういうと、相葉さんは赤くなって俯いた。
わかってるんだ。
こういう反応になるの。
だけど、俺は突き放せない。
「あっ!ちょっとご飯みてくるねっ」
ごまかすようにキッチンへ逃げていったが、バレバレだっつーの。
「ほんっと…かわいいヤツ…」
ソファに寝転がりながら思わず独り言ちた。
あ、しまった。
ずっと3日間着たきりで寝てたから、俺、くさい。
なんだか相葉さんに、この臭いをかがせるのが恥ずかしくて。
買ってきてもらった買い物袋を漁る。
あ、ちゃんと忘れずに買ってある。
風邪を引いてから、洗濯してなくて。
つかその前からしてなかったから、洗濯機はパンパンになってて、着替えがなかったのだ。
手早く着替える。
「ニノ~できたよ~」
タイミング悪く、相葉さんが来てしまう。
「はうっ‥」
何だその反応。
俺は笑い出したいのを堪えた。
まじめに俺の裸見てうろたえるなんて。
コイツ、重症だな…