第11章 アップル・グリーンscene1-2
「あ、もしよかったらなんか作ろうか?材料買ってきたんだ」
「えぇ!?」
こいつ、風邪うつってもいいのか…?
早く帰らないと、酷いことになるぞ?
「あ、ごめん。帰ったほうがいい?」
そういうと明らかにしょんぼりした。
頭に耳がついてたら、ぺたっと垂れてるだろう。
「…いいよ」
思わず。
つい思わず言ってしまった。
風邪、うつしたくないのに。
「じゃあ、作ってもいい…?」
俺がいいと言っているのに、まだ伺ってくる。
日頃の虐待の成果だ…
そんな犬みたいな目で俺を見るなよ…
「もう、しょうがないなぁ…」
「やったー!俺がんばるっ!」
途端にしっぽを全開に振り出した。
だめだ…俺、本当はコイツに弱いんだ…
キッチンに案内すると、いそいそと準備をしだす。
俺はリビングで、その音を聞いている。
パタパタあいつの足音が家でしてる。
絶対に家にあげないようにしてたから、不思議な感じだ。
「ニノ~。もうすぐできるよ~」
「ありがと」
キッチンから相葉さんが戻ってくる。
でも顔は見ない。
きっときらきらした目で俺を見てるのはわかるから。
「あ、そうだ。リーダーから本預かってきたよ」
「あ、ほんと?」
この本だけは。
特別だから。
相葉さんにも話してもいいかな。