第11章 アップル・グリーンscene1-2
「あああっ!ニノぉ!開けてよぉ!」
玄関の外でわめいている。
鍵あけてあるのに…
「ニノぉ…」
もう、その声。
その声を聞くと堪らなくなる。
アイツの思いに応えられないのがものすごい罪に思える。
仕方なくドアを開ける。
「鍵、開いてる!」
顔を見ると、泣きそうになってる。
また胸がチクリと痛んだ。
「入れば!?」
もっと本当は突き放したらいいのに。
でも俺にはできないでいる。
もう何年も。
相葉さんを部屋に招き入れると、後ろをパタパタとついてくる。
これもいつものこと。
いつもいつも。
俺の後ろをパタパタとついてくる。
たまに音がしなくて振り返ると、コケていたりする。
ある意味目が離せない…
「ねーねー!熱どう?下がった?」
来るなりハイテンションで飛ばす。
おめえは見舞いにきたんじゃねえのか。
「下がった…」
「あ、これね、買ってきたよ?」
マネージャーに頼んだ買い物だ。
こんなことまでやらせて…
どこまでこいつをおもちゃにしてんだよ…
舌打ちしたい気分でその袋を眺めた。