第10章 ラズベリーscene1
「うん…わかったよ…」
そういうと、ベッドに上がった。
半身を起こしている翔ちゃんを抱きしめて、キスした。
ひとつキスをしたら、見つめ合った。
きらきらした目が俺を見つめていた。
「がまんさせて、ごめんね」
「え?」
「半年、我慢してくれたんでしょ?」
「う…いや…その…」
「俺、にぶいから。全然気づかなくて…」
「…ふふ…それが智くんのいいところでもあるんだよ?」
そういって、ふわふわと翔ちゃんが笑った。
俺はこの笑顔を心に焼き付けた。
俺だけの笑顔。
俺だけの宝物。
急に翔ちゃんの手が、俺のパジャマのボタンに伸びてきた。
「自分ばっかりパジャマ着て、ズルい」
そういって俺のパジャマをすっかり脱がせた。
俺を裸に剥いたら、改めて正面に座った。
「お風呂、いこ?」
顔を赤くして、精一杯の声だった。
「いこっか」
そういって、俺は翔ちゃんの手をとった。
動物園では繋げなかった手を繋いだ。
そのままバスルームへ行く。
お湯を溜めていたら、翔ちゃんが肩の傷に気づいた。
「ご、ごめん。もしかして俺?」
「もしかしなくても翔ちゃんだよ」
「ごめん!痛い?」
「ううん?気持ちよかったよ?」
「へ?」
「だって、コレつけられた時、すっごい気持ちいい時だったから」
「す、すけべっ」
翔ちゃんが真っ赤になった。
俺は、笑った。