第10章 ラズベリーscene1
気がついたら、寝てた。
周りを見るとふとんもパジャマもぐしゃぐしゃのままで。
俺と翔ちゃんは裸で抱き合ったままだった。
翔ちゃんを起こさないようそっと起きだして、布団をかける。
俺のか翔ちゃんのかわからないけど、適当にパジャマを拾ってはおった。
床に座ると、髪をなでてその寝顔を見つめる。
そういえば、いつも俺よりも先に翔ちゃんが起きていた。
だからこんな寝顔をみるのは初めてだった。
安心しきって、幸せそうな寝顔。
あれだけ激しい時間を過ごしたというのに、そんな疲れは見えなかった。
俺もだけど。
だって、寝顔をみてたらまた欲しくなったもん。
どんだけ貪欲なんだよ、俺。
でも今は。
眠りの世界に行っているのを邪魔したくない。
髪の毛を撫でるので我慢しよう。
そのまま俺は、ベッドに眠る翔ちゃんの髪をずっと撫でていた。
揺り起こされて目が覚めた。
また俺は寝てしまっていたらしく。
「智くん、起きて」
「ん…?どうしたの?」
「あのね…」
「うん?」
「キスがしたい」
びっくりして翔ちゃんの顔をみる。
「ごめんね。俺、我慢できなくて」
翔ちゃんも一緒だったんだ。
初めて俺は気づいた。
翔ちゃんも半年間がまんしてたんだ。
俺に触りたくて。