第10章 ラズベリーscene1
そのまま一緒にお風呂入って。
またムラムラして。
実は一回しちゃったけど。
そんな話はどうでもよくって。
「翔ちゃん…?」
「なあに智くん…」
ベッドで俺の胸に頭を預けている翔ちゃんを抱きしめていたら、急に言いたくなった。
「俺の奥さんになってくれませんか?」
しばらく返事はなかった。
俺は根気強く返事を待った。
「つ、付き合ったばっかりなのに…もうプロポーズ?」
やっと翔ちゃんが喋ってくれた。
「うん。だってもう離さないもん。だったら恋人でも奥さんでも変わらないじゃん」
「ばっ…ばかだなぁ…智くんは…」
「なんで?」
「ちょっとくらい、恋人気分味あわせてよ」
「嫌なんだ…」
「ち、ちがうよ!」
そういうと、翔ちゃんは俺の胸に顔をぐりぐりと擦り付けた。
「ばかだなぁ…」
またそう呟いた。
そして、ベッドに正座をした。
「俺、男だけど。奥さんにしてもらえますか?」
慌てて俺も起き上がる。
正座をすると、ベッドに手をついた。
「一生、幸せにします」
「……よろしくお願いします。智くん」
二人で頭を下げた。
頭を起こすと、二人で笑った。
笑って笑って、泣いた。
そして、そのまま抱き合って眠った。
いろいろあったけど。
俺たち、夫婦になりました。
【END】