第10章 ラズベリーscene1
「あっ…あ…智くん…」
翔ちゃんの切ない声がまた、俺を煽って。
「翔ちゃん…翔ちゃん…」
俺はひたすら名前を呼んだ。
それを握る右手に力が入る。
一生懸命、翔ちゃんを気持ちよくする。
今の俺には、それしかなかった。
翔ちゃんを後ろから抱きしめながら、肩、首筋、襟足にキスを降らす。
全部、全部キスをしたい。
翔ちゃんの身体、全部。
「あ…ダメ…智くん…オレ…出ちゃう…」
「出して…」
「あ…や、やだ…」
「出して、翔ちゃん」
「やだぁ…智くんが見えないっ…」
背を反らせながら、最高に甘えてくる。
身体を起こすと、翔ちゃんの正面にまわり、キスをしながらまた擦りだす。
「あふ…んっ…んんっ…」
翔ちゃんの汗が伝ってくる。
だんだん手の中の翔ちゃんが、張り詰める。
「あっ…さ、としくぅっ…」
「翔ちゃん…」
翔ちゃんが俺の手に出してくれた。
俺はそれをじっとみた。
翔ちゃんは肩で息をして、ベッドに沈んでいた。
この後、どうしよう。
オレ、欲望のまま突き進んでいいんだろうか。
手のひらに出された、翔ちゃんの分身を見ながら深く考えた。