第10章 ラズベリーscene1
「翔ちゃん…?」
「なに…?」
「キス、してもいい?」
あ、しまった。
今日付き合ったばっかりなのに、こんなこと言っていいんだろうか。
そんなことを考えていたら、腕の中にいる翔ちゃんが頷いた。
顔をみようと思ったら、俯いていて表情が見えない。
俺は翔ちゃんの頭の下から、右手を引き抜くと、翔ちゃんの頬を両手で包んだ。
上を向かせると、薄明かりの中でもわかるくらい、真っ赤になってて。
「かわいい…」
思わず口を突いてでてしまった。
「そ、そんなこといわないでよ」
翔ちゃんがやっと喋ってくれる。
「ほんとだよ。翔ちゃんかわいい」
「やめてよ…もう…」
そう言って、伏せた目元が色っぽくて。
がまん…できるかな…
自信…ないや…
付き合って初日なのに…
そうは思っても、欲望と本能には逆らえなくて。
俺は翔ちゃんにキスをした。
キスをすると、また見つめ合って。
またキスをして。
見つめ合って。
繰り返しているうちに、やっぱり我慢できなくなってきて。
次にキスした時、強引に翔ちゃんの口の中へ割って入った。