第10章 ラズベリーscene1
「え?なんて書いてあるの?」
「えっとね…」
「うん?」
「大野智は、櫻井翔が好きですって書いてあるの」
「……え?」
翔ちゃんはそのまま動かなくなってしまった。
俺はというと、俺も動けなくて。
恥ずかしくなって、下を向いちゃって。
心臓が口から出ないように、ずっと黙ってた。
しばらくして、心臓がおちついたら、顔を上げて。
下を向いてる翔ちゃんを抱きしめに行った。
そっと、翔ちゃんを抱く。
翔ちゃんは小さく震えてて。
泣いてて。
「翔ちゃん、好きだよ」
俺は翔ちゃんを抱きしめながら、また気持ちを伝えた。
無言で翔ちゃんは頷く。
「俺と付き合ってもらえますか?」
そう言うと、また頷いてくれた。
「ありがとう、翔ちゃん」
翔ちゃんが顔を上げた。
「俺も、好きです。智くん」
泣きながら笑顔になった。
俺も笑顔でそれに応える。
二人でいつまでもニコニコしてた。
翔ちゃんの涙が止まるまで。
「智くん…ありがとう」
「翔ちゃん、ありがとうね」
そう言うと、どちらからともなくキスをした。
俺は初めて翔ちゃんの唇に触れることができた。