第10章 ラズベリーscene1
綺麗な色のネイビーのTシャツと、微笑む翔ちゃんの顔をみてたら、なんか心がいっぱいになって。
出かける前から、こんなに楽しくていいんだろうか。
「あ、変装も俺の小物つかいなよ」
そういって、翔ちゃんは食器をもってダイニングから出て行った。
俺はほっぺをつねった。
痛い。現実だ。
翔ちゃんのTシャツに着替えて。
翔ちゃんの見立てで、帽子と高そうなリュックを借りた。
それに俺のもっているダメージの強いGパンを合わせる。
Gパンも貸してくれるっていうけど、俺のほうが足が短いから遠慮しといた。
「あんまり下手にメガネとかしないほうがバレないんだよ?」
「うん。そうだね」
翔ちゃんは、俺と同じような縁のついた帽子に、薄手の白いシャツにGパンを履いていた。
手には俺と同じようにリュックをもっていた。
「さて、準備完了だね」
翔くんが気合を入れる。
「今日一日、バレないといいね!」
「うん」
眩しい笑顔で、俺に微笑みかけてくる翔ちゃん。
リュックにいれたプレゼント。
いつ渡そう。