第10章 ラズベリーscene1
「え?なにが?」
「あのねぇ…あ…でもなぁ…」
「なんだよ?」
「俺、そんなお節介な性格じゃないしなぁ…」
「お節介?」
その時、翔ちゃんが楽屋に戻ってきた。
「あ、智くん、大丈夫?」
すっと俺とニノが座り込んでいる床の隅っこまできて、俺のおでこに手を当てる。
「うん、下がったね。大丈夫」
「ごめんね、翔ちゃん」
「ううん。いいんだよ。治ったんだし」
「今度から、気をつけるから」
「うん。俺も気をつけるよ。ちゃんと智くんのこと見とくから」
「ありがとう。翔ちゃん」
そういうと、にっこり笑ってくれた。
翔ちゃんは立ち上がってイスに座り新聞を読み始めた。
ふとニノの顔をみると、うんざりした顔をしていた。
「ど、どうしたの?ニノ」
「…ごちそうさま」
そう言って立ち上がろとする。
「え?なに?どういうこと?」
慌てて袖を引っ張って引き止める。
「……あんた、ほんっとにわかってないの?」
「え?なんのこと?」
「…ダメだ…翔さんが不憫だ…」
「え?なんで?」
ニノは俺の目をじっと覗きこんできた。
「……大野さん、翔さんに幸せになってもらいたい?」
「え?もちろん」
「じゃあ、これから先生の言うこと聞ける?」