第10章 ラズベリーscene1
家に帰って、速攻お風呂に入る。
湯船でニノから貰った宿題のことをずーっと考えてたけど、全然どうしていいかわからない。
どんどん時間が過ぎていって、そろそろ翔ちゃんが出るテレビの時間になる。
慌てて上がって、びしょびしょのままテレビの前に座る。
番組の始まりを知らせる音楽を聞くとなぜか俺まで緊張する。
噛みませんように。
番組はどんどん進んでいって、翔ちゃんのコーナーになって。
じっとみてると、なんか翔ちゃんと喋ってる気分になる。
今日は1噛みだった。
番組が終わって、翔ちゃんにメールする。
『お疲れ様』
一言だけど、伝わってる気がするから。
毎週送ってる。
テレビのリモコンとスマホを握りしめたまま、テレビの前で寝転がる。
「宿題…どうしよう…」
やらないと鬼神のようなニノに怒られてしまうし…
あいつ怒らせると、一年くらい面倒くさいから、できれば避けたい。
でも…
俺だって、翔ちゃんに触れたくないわけじゃない。
いつもってわけじゃないけど、時々無性に触りたくなる。
でも、男である翔ちゃんにこんな気持ちを抱くのは失礼だと思っている。
だって俺の気持ちは、ヨコシマなんだから。
ヨコシマってどんな漢字だっけ?