第10章 ラズベリーscene1
「ちょっと待って。そこの頬を赤らめているあなた」
「な、なんだよ」
「今、あんたたちどうなってんの?」
「え?どうなってるって?」
「だから、どこまで進んでるの?」
「どこまで進む?」
「一緒に暮らしてるんでしょ?」
「うん」
「だったらデートくらい普通するでしょ?」
「え?」
ニノがどうしていいかわからないって顔になった。
「同棲してんだよね?」
「え?違うよ」
「なんなの?一緒に暮らしてるんだよね?」
「うん」
「ちょっと…大野さん…」
「なに?」
俺もニノの言ってることが、さっぱりわからなくてイライラしてきた。
「あんた達、付き合ってんじゃないの?」
「ええええええええ!?」
「ちょっ…声でかいっ」
「あっ、ごめ…」
ニノは俺の襟首を掴んで、ビルの間の細い小路に引っ張っていった。
「ちょとさあ、聞き捨てならないんだけど」
ニノの顔が急に怖くなった。
「あんた、翔さんと付き合ってないの?」
「え?うん」
「なんでよ!?半年も一緒に暮らしておいて」
「ええ!?だって、全然そういうんじゃないよ!?」
「なんだってぇ!?」
多分、嵐で一番怒らせてはいけない人を怒らせたようだ。