第10章 ラズベリーscene1
コンポートってやつを食べ終わったら、眠くなってきて。
ちょっと目を擦ってたら、翔ちゃんにお風呂行って来いって言われて。
ちゃんといつも、お風呂も用意してくれてて。
温度も俺がのぼせないように、ぬるくしてくれてるし。
湯船に浸かりながら、なんで翔ちゃんは、こんなに俺のこと見ててくれるんだろって考えてて。
俺は翔ちゃんに何もできてないっていうのに。
なんでそばに居てくれるんだろうって。
考えても考えてもわからなくて。
そのままゆでダコになりそうだったから、すぐに上がった。
「相変わらず早いね」
風呂から上がると、まだ翔ちゃんは待っててくれた。
俺の風呂の短いのを、カラスの行水だといって笑う。
「カラスかよ…俺…確かに黒いけどさ…」
そう言ったら爆笑してくれて。
「さ、さとっさん、そこまで黒くないっ…」
「しげるにならないよう、気をつけるよ」
「それは是非、よろしくお願いします」
ソファーの上に正座して頭を下げられるから、俺は床に五体投地しといた。
それをみた翔ちゃんは、しばらく笑いっぱなしだった。
うん。
笑ってくれるなら、それでいい。