第9章 June bud scene1
でも、別世界の和也の口の中を出るのは惜しくて。
「あぁ…和也…和也…」
ひたすら名前を呼んでごまかしてみる。
でも、俺を飲み込むいやらしい水音、そこからもたらされる強烈な快感。
なにより、苦しそうに顔を歪めて跪いて俺を愛撫する和也の姿。
視覚と聴覚と触覚が、和也に支配されて。
もう抗えない。
「和也…もう出る」
荒い息を吐きながら、なんとか和也に伝える。
和也の目が、少し笑う。
その顔が、この世で一番エロく見えた。
「あぁっ…もう、ダメっ…」
言うと、和也の手の動きが早まった。
「和也っ…イクっ…」
俺は別世界に、全てを放出した。
出してしまった俺を見て、和也は嬉しそうにソレを飲みこむ。
萎えていく俺を口の中に入れたまま、俺を見上げている。
俺は息が整うまで、その和也の顔をじっとみていた。
「和也…かわいいよ…」
そう言ってやると、また羞恥に頬を染めて目をそらす。
「和也のお口はいつも気持ちいいね」
また顔を赤らめる。
「和也は、どこでそれを覚えたの?」
「え?」
「どこの男が和也にこれを教えてくれたの?」
「…やだ…」
「やらしい子だね、和也は」