第9章 June bud scene1
涙目になった和也を見て満足する。
「ほら、こっちおいで?」
腕を広げてやると、飛び込んでくる。
「ほら、淫乱の和也くん。何をして欲しいか言ってごらん?」
「やっ…」
小さくそう言うと、俺の胸に顔を埋める。
かわいくてたまらない。
「言わないと、触ってあげないよ?」
優しくいうと、少し顔を上げて俺の目をみる。
「淫乱なんだから、気持よくなりたいでしょ?」
「やだぁ…」
こうやって嬲って、泣き出すのを待つ。
「俺が欲しくないの?」
「欲しい…」
「じゃあ言ってごらん?」
「うぅ…」
唇を噛んで耐えているが、涙が一粒こぼれ出す。
これが見たくて、いじめる。
「和也…」
そういうと、ぎゅっと抱きしめる。
愛おしくて堪らない。
どの和也が本当の和也かわからないけど、きっと今の和也が本当に一番近いんじゃないかと思う。
普段の和也もどSの和也も愛してるけど、マシュマロの時の和也は、庇護欲を掻き立てる。
守ってやらなきゃと思う。
永遠に埋まらない淋しい穴を、俺の身体全部使って埋めてやる。
「和也…好きだよ…」
なんだか色々考えてたら、考えてたことがそのまま口から出た。
「まーくん…」
少し赤い目で俺を見上げてくる。
その唇にキスをする。