第9章 June bud scene1
普段はおくびにも出さないけど、その淋しさは相当根が深くて。
こうやって俺とふたりきりのときだけ、それが見える。
なんでこうなったかは知らない。
知ってもしょうがないと思ってる。
だって今の和也には俺が居るんだから。
「まーくん…ごめんね…」
「もういいから」
そう言って両手を広げると、ストンとそこに収まってくる。
「あー、身体冷えたなあ」
ぐずっと鼻をすする音が聞こえる。
「一緒に、風呂はいるか?」
そういうと、キラキラした目で俺を見上げた。
だめだ。
好きすぎる。
風呂から上がると、和也がビールを冷蔵庫から出してくる。
「まーくん、今日は飯は?」
「食べてきた」
「じゃ、他はなんもいらない?」
「んー。お前だけでいいかな」
「え?」
「つまみは和也だけでいいかな」
「ばっ…ばか」
「いいから、注げよ」
「もー…」
そう言いながらも、これからメチャクチャにヤラれるのを待ってるのはわかってる。
さっき突いてやったツボが効いてるから。
和也に見えないようにほくそ笑む。