第8章 ワインレッドscene2
次の日、起きてみると潤の目は腫れ上がっていて。
急ピッチで冷やしたけど、まだちょっと腫れぼったくて。
眠そうな目のまま、洗面所で身支度をしていた。
「潤、ほら歯ブラシ使えよ」
「ありがとう」
「使ったら、ここ差しとけよ」
そう言って、二つだけ挿せる歯ブラシ立てを指さした。
潤はそれを見て、嬉しそうに微笑む。
「うん…」
またその姿がかわいくて。
二人で鏡に向かって歯を磨いていたら、いつも俺が使っているハンドオイルがあって。
「潤?」
「んー?」
「これ、ローションの代わりに使えねーかな?」
そういうと、潤は洗面台に向かって、盛大に噴き出した。
「ちょ、なっ…朝っぱらから…!」
「いや、俺は至極真剣だよ?」
「ばっ、バカ!スケベ!」
「お前だってスケベだろうが」
「ち、ちがうから!」
「スケベじゃなきゃ、襲わねえだろ」
「も…言わないでよ…」
「スケベ潤。スケベ」
「スケベ翔!スケベ!」
「おーまえーの方がスケーべー」
「なんだよ、その歌…」
「潤の歌」
「はぁ!?」