第8章 ワインレッドscene2
そんなバカな会話も楽しくて。
支度が終わって。
玄関を出るとき、潤が後ろから抱きついてきた。
「どうした?」
「んー…」
「ほら、いかなきゃ」
「もうちょっと…このまま」
そういうと、潤はぎゅっと俺を抱きしめた。
そのまま潤の気の済むまで、俺は待った。
初めて会った時から、俺のことをずっと思い続けてくれた、この愛おしい男を離したくない。
潤がしたいことは、なんでもさせてやりたい。
だから、俺は待つ。
潤が俺を待っていてくれたように。
「ありがとう…」
「おう、じゃあ行くぞ」
俺は潤へ手を差し出した。
潤ははにかみながらその手を取った。
そして、一緒に歩き出す。
【END】