第8章 ワインレッドscene2
最初は確かに憎かった。
でも、潤の思いがわかって。
俺を必死に看病してるのがわかって。
俺を傷つけようとして、あんなことやったわけじゃないってわかって。
だから、許そうと思った。
俺に触れてもいいや、と思った。
けど、やっぱり俺は男だから。
時間が経って、冷静になって。
どうしてもあの時の記憶が蘇ってしまって、お前のこと、どうしていいかわからなくなった。
男のお前の気持ちに、どう対処すればいいかわからなかった。
やっぱり、応えられないと思ったから。
でも、六本木で他人に触られてるお前を見たら、堪らなくなった。
俺自身、なんでそう思ったかわからなくて。
わからなかったから、潤を傷つけてやろうと思った。
汚してやろうと思った。
でも、お前は汚れなくて。
むしろ俺がどんどん汚れていって。
だから、お前を試すようなことした。
俺が汚いことしても、まだお前は俺のこと思ってくれるかって。