第8章 ワインレッドscene2
潤の身体を洗ってやり、手を引いて浴室から出る。
ふらつく身体を支え、タオルで身体を拭いてやり、バスローブをはおらせる。
俺はバスタオルを腰に巻き、潤の手を引いてリビングへ行く。
そのままソファに潤を座らせて、顔を覗きこむ。
潤は俺の目を見ようとしない。
キッチンにいって、冷蔵庫から冷たい水を出す。
戻って、ボトルの蓋を開け、それを口に含まそうとするが、飲まない。
飲まないから、自分の口に含んで、顎を掴み、口移しで潤に飲ませる。
少しずつ潤の唇が開き、水を吸い込む。
潤が俺にやってくれたように、何度も、何度もそれをする。
充分な水分を飲んだと判断し、自分も飲む。
潤は一切言葉を発さず、ただ虚ろに俺の動作をみている。
水を飲み終わり、ボトルに蓋をする。
寝室に入り、潤のために服を選んで持っていく。
潤のバスローブを脱がせ、服を着せる。
後ろを向かせた時、俺のつけたキスマークが背中一面に散っているのをみて、またそこにキスをした。
そのまま潤を抱きしめて、暫くその鼓動を感じる。
力強く打つそれは、潤がここにいる証で。
いつまでもいつまでも、俺はそれを聞いていた。