第8章 ワインレッドscene2
個人のレギュラーの収録が終わって、車を走らせている。
今日はいつもより早めに終わったから、夕飯はいきつけの店にする。
六本木のパーキングに車を停めて、街を歩いていると、見覚えのある集団がいた。
ひときわ派手な集団。
そっと伺うと、潤がその中にいた。
潤が仲良くしている俳優仲間の集団だった。
今日はなにかあったのか、結構な人数で、小栗や斗真の顔まで見える。
潤の肩には、小栗の手が組まれ二人でなにやらこそこそしゃべっている。
もう酒が入っているのか、とても楽しげな雰囲気でいたのだが、いきなりその集団の一人が、潤に絡みだし。
最初はいなしていたんだが、すぐに火がつく性格だから、ムキになって向かおうとする。
小栗がそれを抑えて、二人を引き離そうとする。
周りにいる連中は、気づいていないか、面白がってみていた。
なんとか潤を収まらせると、いいこだったと言わんばかりに、みんなで潤の頭をもみくちゃに撫でて。
その中に居た女の子が、潤の頬にキスをした。
潤はふてくされた顔をしていたが、それを拒否するわけでもなく。
なぜだか、そこを逃げ出した。
今、潤に会いたくなかった。
俺がこんな顔してるの、見られたくなかった。