第8章 ワインレッドscene2
少し油断すると、あの日のことを思い出してしまう。
思い出して、鳥肌を立ててしまうこともあるし、身体が強張ってしまうこともある。
自分が汚されたような気もする。
当然、アイツのことを許せないと思っている自分がいる。
でも、アイツの心情を考えたら、そんな気持ちは吹っ飛んでいったりもして。
一体、自分の心なのに、あの日の出来事に関しては、どう考えていいのかわからない。
いや、自分がどう感じているのかわからない、といったほうが正確か。
心の定点が定まらなくて、フラフラしてる。
俺、櫻井翔。
いい加減、ケリをつけたい。