• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第8章 ワインレッドscene2


結局俺は、夕飯もとらずに家に帰ってきてしまった。

六本木で、俺の心に生じた気持ちが、何かわからなかった。

頭が混乱している。


あの時、寝ている俺に繰り返し囁いた潤の声が甦る。


『好きだよ、翔くん』


背中の打撲はとっくに治った。

あの日は、熱があったから潤を一時的に受け入れた。

でもそれ以後は、仕事でしか会っていない。


俺が会うことを拒絶してた。


潤に、どう接していいかわからなかったから。




気がついたら、潤に電話していた。


長くコールしても出なかった。


電話を切って、我に返った。


電話してどうする。

何を話すつもりだ。


スルリと俺の手から、スマホが落ちた。


もう訳がわからない。

正直、苦しい。


何もする気が起きなくて、そのままシャワーを浴びに行く。


熱めのお湯に打たれていたら、不意にあの日のことを思い出した。


潤が、俺の中に入ってくる感覚。

囁く声や俺を見る目線。

手の動き。

吹き出る汗の雫。

俺に好きだという声。


知らず知らず、俺は自分自身を握りしめた。

「くっ…」

それは、驚くほどの快感で。

思い出せば思い出すほど、それは大きくなって。

最後に達する瞬間、思わず名前を呼ぶ。

「…潤っ…」



壁に手をつき、息を整えていると、すぐ我に返った。


何をやってるんだ。


俺はすぐにシャワーを水にし、頭から浴びて浴室を出た。

/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp