第7章 ベルフラワーscene1
大野さんの後に続いて階段を降りて行くと、ちょうど橋の下に出る。
「きっとこの辺にいたんだろうな。とうちゃん」
そういいながら、橋の下へ入っていく。
橋の下は舗装されてて、歩きやすいようになってた。
「あ、そうだ。こっちっ側から俺のこと見てたんだ」
そういうと、さっき大野さんが座ってた階段を指さした。
「ぷぷ…大野さん、かわいいね」
「なっなんだよ!」
「そんな小さいころのこと、よく覚えてるね」
「だって、結構ショックだったんだぜ?」
そう言いながら、頭をポリポリと掻いてる。
その姿がすごくかわいかった。
周りが町工場だったから、結構暗くて。
誰もいなかったから、俺は迷わずキスをした。
大野さんはびっくりしていたけど、すぐにそれに応えてくれて。
でも…
今日は俺がリードしてやる。
ちょっとしたいたずら心からそう思った。
今日は大野さんのいろんな話が聞けたから、テンションがハイになってたんだと思う。
キスを中断して、大野さんの手を引いて、橋の壁が大きくへこんだ構造になってたから、そこへ大野さんを押し付ける。
そこはちょっとした物陰になってて、外からは見難い。
そんな安心感もあって、俺は大胆になっていた。
「潤?」
怪訝な顔をしている大野さんの顔の横に右肘をついて、再びキスをする。
何年も唇を重ねてきたんだから、大野さんの気持ち良い所、わかってる。
唇を舐められるの、すきだよね?
沢山舐めてあげる。
「んっ…潤‥」
唇の隙間から、俺を呼ぶ声がする。
いつもと勝手が違って、戸惑っている。
なんかゾクゾクする。
「なに‥?大野さん」
「お前…どうしたんだよ…?」
「だって、したいんだもん」
「え?ここで?」
「え?違う!キス!」
「やらしいなぁ…潤」
そういうと、にやっと笑って俺の手を引いて、俺を壁に押し付けた。
「お前、覚悟しとけよ?」