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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第7章 ベルフラワーscene1


夕日が暮れきったのを見届けて、俺達は陸橋を降りた。

「もう帰ろっか」

大野さんは背伸びをしながら言った。

その姿はとても満足気だった。

「今日はそっち送っていけばいい?」

「うん。潤も来るだろ?」

「え?いいの?」

「いいよ、もちろん」

「邪魔じゃない?今、いろいろ作ってるんでしょ?」

「全然」

そう言うと、くるっとこちらを振り返った。

「潤がいないと眠れねーもん」


心臓がドクンと大きく波打った。



中央自動車道から首都高に乗ることにして、三鷹料金所を探す。

三鷹駅からはちょっと離れたとこにあって、俺達は位置的にちょっと逆戻りする格好になってる。


大野さんはまた車窓を眺めて、時々思い出を語る。

こんなに自分のこと聞かせてくれるなんてなかったから、本当に嬉しい。

日はとっくに暮れて、外は暗くなっていた。

「あ」

大野さんが突然窓を開けた。

「どうしたの?」

「あ、思い出した!ここだ!!」

「え?」

「車、どっか停めれる?」

コインパーキングを見つけたので、そこに車を停める。

急ぎ足で大野さんが降りていったので、慌てて追いかける。

そこは野川という小さな川で、両サイドはきれいな舗装道路がついていた。

川の近くまで行くと、看板が出ていてどうやらサイクリングロードになっているらしい。

「っあーーー。ここだあああ」

「なに?どうしたの?」

「小さいころ、ここまで父ちゃんと自転車で来たんだよ」

「えっ?結構、実家から離れてない?」

「そうなんだよ。とうちゃんが出かけるっていうからさ、ついてきたらもう、地獄でさ」

そういうと大野さんは川に降りていく階段に腰掛けた。

「もう帰れないくらい疲れて、ここで泣いたんだよ」

「へ~。かわいいじゃん」

「かわいくねえよ。とうちゃんに置いていかれたんだぜ?」

「えっ?」

「後から迎えに来てくれたけどさ。俺が立ち上がるまで、ずっと物陰にいたんだよ…」

そういうと大野さんは立ち上がって周りを見渡す。

「とうちゃん、あん時どこいたんだろ」

そういうと大野さんは橋を渡って、向こう岸に行く。

「あ、ここかぁ」

そう言いながら、川に降りる小さな階段を降りていく。

サイクリングロードになるくらいだから、川は整備されてて。

川に降りる階段もいくつかあるようだった。
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