第7章 ベルフラワーscene1
次の日も、前の日の続きで調布の撮影所へいく。
朝早かったから、昨日はおあずけを食らってしまった。
まあ、その…あっても困るんだけど…
「あ、潤」
朝、出るときに大野さんが変なことを言い出す。
「今日も昨日の車な」
「え?だって今日は事務所の車…」
「今日も潤の車で行こう」
「え?なんで?」
「マネージャーには俺が連絡しといた」
「え、うん…」
「今日の仕事、PVの撮りだけだろ?」
「うん、そのはずだよ?」
「…後、この服やめて」
「えっ!?なんで!?」
普段、服のことなんて全然気にしない人が、なんか言い出した!
「あと、帽子もこっち」
と、玄関におきっぱにしていた帽子を取る。
「ちょ、ど、どうしたの?」
「…お前派手なんだよ…」
「え?」
どうも理由がわからなかったけど、地味にしろってことだったから、なるべくそうしてみた。
「よし、いくぞ」
着替えた俺に、キスをして大野さんは玄関を開ける。
なんだかよくわからない。
靴を履いて立ち上がろうとすると、大野さんが手を差し出した。
「ハイ」
「…ありがとう…」
素直にその手を取った。
そのまま車に乗るまで、俺たちは手を繋いであるいた。
なんか、幸せ。
今日のPV撮影は、昨日でだいぶ進んでいたので、終わりが早かった。
まだ午後の3時。
思った以上に早い終わりで、楽屋では相葉さんが食事の約束の電話をしまくっている。
お前、アグレッシブでいい。
「あーっ!誰も捕まらないっ!」
相葉さんが悶える。
その背後から翔くんが、相葉さんの肩を叩く。
「雅紀、俺が付き合うから、他の事務所の方に迷惑かけるな…」
「そうだそうだー!翔さん、もっと言ってやれー」
ニノが余計なチャチャを入れる。
「お前がこの後仕事だからだろっ!」
ニノがアッカンベーをする。
「もう、楽屋でいちゃつくのやめなさいよ…」
翔くんが脱力している。
「潤、またせた。いこ?」
大野さんがやっと楽屋に帰ってきた。
「あ、うん。いこっか」
「じゃあ、皆、お先ー」
「おつかれー」
「お疲れ様」
「ああっ!帰っちゃうのぉ!?」
泣いている相葉さんを無視して、俺達はタレントセンターを出た。