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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第7章 ベルフラワーscene1


晩飯を食べるところはなさそうだな…

そう思って、大野さんを振り返るとまだ鬼太郎の家を見上げてる。

じーっとその場から動かないから、俺は車止めに腰をおろした。

多分、こうなったら暫く時間がかかるだろうから。

こうなった時は、俺はいつも大野さんを眺める。


あ、今日は寝癖ひどいなとか、

寝不足なのかな?とか、

今日の猫背酷いなとか、

シャツがパンツに入りかけてて、出してあげたいなとか。


そんなことを思いながら、じっと大野さんを見つめるのが習慣になってる。

そうやって俺は大野さんとの時間を楽しんでる。


俺も何時間でも見てられるな。


暫くすると、大野さんがやっと満足したのか、こちらに歩いてくる。

「やー。久しぶりにみたけど、やっぱり年月が経つと味が出てくるね。それっぽくなる」

こういうことには饒舌になって止らない。

俺はそれをふんふんと頷きながら聞いてるのが楽しい。

車に戻ると、大野さんがまた行きたいところがあると言う。

「えー?晩飯は?」

「その後、ね?」

そう言われて、また大野さんの道案内で車を進める。

「あ、ここさ。昔、俺が缶詰の蓋で指切った時、来た病院」

「え?暗くてよく見えないよ」

「ああっ。懐かしいなぁ。ここ、よくとうちゃんに連れてきてもらった公園」

どうやらこの辺は大野さんの実家近辺らしく、昔話がたくさん出てきた。

主に怪我の話ばっかだったけど。

「調布側から来ることないから、なんか新鮮だ」

そう言いながら、車窓を眺めている。

「あ、潤。ここ」

そう言って大野さんが、指差したのは学校だった。

とても見覚えのある学校。

「あっ!ここねっ!」

思わず俺もちょっとテンションがあがる。

ここは俺達が主演したドラマの撮影をしていた学校で。

「懐かしいね」

「懐かしいな」

思えば、あれから16年も経ってて。

俺達は大人になってて。

いつの間にか、大野さんとはこんな関係になってて。


ふと、大野さんをみると、大野さんもこちらを見てた。

ちょっとびっくりして、すぐに前を向いた。

顔が赤くなってるのが、わかったかな?

なんか、恥ずかしい。





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