第6章 アップル・グリーンscene1
くたくたになってそのまま眠って。
次の日の朝、俺の後ろは大変なことになったけど…
でも、俺はとっても幸せで。
ニノがコーヒーを入れてくれて、それがとっても美味しくて。
ほっぺは腫れてないし、腰はなんとか動かせるし。
問題はない。
カーテン?
ああ、カーテンね。
なんかね、ニノのマンションって、外から見えないフィルム貼ってあるんだって。
もう、最初から言えよなっ!
俺が恥ずかしいだけのプレイじゃん!
もう…
でもそんな俺をみて笑ってるニノも、俺の中に入って汗をかいているニノも、俺に優しくキスしてくれるニノも。
全部好き。
とても幸せだよ。
『ぼくにはなにかがたりない』
「雅紀?行くよー?」
「はーい」
部屋の出口でニノが俺を待ってくれてる。
ふたりともクタクタだけど、今日もお仕事がんばってきます。
だって今日も終わったら、ニノの家にくる約束したもんねっ。がんばるっ
「ねえ、ニノ…」
「ニノっていうの、もうやめない?」
「え?じゃあ…なんて呼べばいいの?」
「んー…かずなり?」
「えー?長いよ…」
「えっ…」
「えっ‥?」
にっと笑う。
「和也、すーきっ」
ほっぺにちゅーをする。
「ばっ…ばっか!雅紀!」
顔を真っ赤にしながら、和也は先に歩いてく。
いいよ。俺がついていくから。
でも、時には立ち止まって俺のこと、見てね?
『たりないぼくを探して』
背中を見ていると、和也が振り返った。
「雅紀、ホラ」
そういうと手を差し伸べてくれた。
俺はその手を取って、少し涙ぐんだ。
「ほんと、幸せだよ?」
「うん?」
「なんでもない」
和也が俺の顔を覗きこんだ。
「また泣いてる」
そういうと、俺にキスをくれた。
「好きだよ、雅紀」
「…俺も…」
そういうと、額にもキスをくれた。
「じゃあいくよ」
「うん」
「ほら、行ってきますは?」
「え?」
「今日また帰ってくるんだから、行ってきますって言わなきゃ」
「…いってきまーす!」
俺たちは手を繋いで家を後にした。
その手はしっかりと繋いだ。
『ぼくのたりないかけらを探して』