第6章 アップル・グリーンscene1
目が覚めると、ソファの上に寝かされてた。
まだ明かりはついていない。
ニノの姿はなくって。
ほっぺ痛くて。
ついでに腰も痛くて。
泣きそうになった。
「ニノぉ…?」
そう呼びかけると、キッチンのほうからニノが来る気配がした。
「ごめん」
そういって俺のほっぺに冷たいタオルを当ててくれた。
「あなたに当たったってしょうがないんだけどね…ごめんね?」
「ううん。俺がなんかいけないんだろうし…こっちこそ…」
「いいの。相葉さん悪くないから。松潤だよ…あんにゃろ…」
ほっぺをぶたれたとき、ちょっと打ちどころが悪くて気を失ったらしい。
そのついでに、腰までまた打ったみたい…。
「いててて…」
「腰、まだ痛むの?」
「うん。さっきまた打ったみたい」
「えっ!?」
「あっ…大丈夫だから!ねっ?」
「ごめん…」
「あっ…ホント、気にしないで?」
「わざわざ見舞い来てくれたのに…」
「ホント、大丈夫だから」
「ごめん。なんか俺にできることある?」
「えっ…?」
「なんでも言って?」
なんでも…
なんでも言っていいの…
「じゃあ…キスして…?」
あっ
なんか、間違えたっ…
「え…?」
やばいっ!殴られるっ!!
とっさに俺は顔をかばった。
でも、ニノの拳は飛んでこなくて。
恐る恐る手の間からニノを伺うと、微動だにしてなくて…
「に…ニノ…?」
「もう…しょうがないなぁ…」
そういうと、俺の手をどけてちゅっとキスをしてくれた。
「え…?」
しばらく、なにが起こったかわからなかった。
「ニノ…?今、俺にキスした?」
「おまえがしてくれって言ったんだろ?」
「えっ…!?」
「えっじゃねえよ」
「ごめん…わかんなかった」
がくっと、ニノの首が落ちた。
「ホント、しょうがねえなぁ…」
そういうと、俺の髪をなで、優しくキスをくれた。
俺は一瞬、天国へ行った。