第6章 アップル・グリーンscene1
「よくわかんないけど、暫く復旧しないの?」
「んーなんか停電してる地域が広すぎて、順次復旧みたいだけど。ここがいつになるかわかんないな。あーもう、ネットも繋がんなくなってきた」
「あっ…!俺の服!」
「あっ!」
懐中電灯の灯りを頼りに、洗濯機まで行くと、まだ俺の服はびしょ濡れで…
「ああ…多分最後のすすぎだよねえ…もうちょっとだったね」
ニノがそう言うと、くすくす笑い出した。
「ニノぉ。笑い事じゃないだろ~?」
泣きそうな声を出してしまう。
「だって、あんた今日ついてないね。すっころぶわ、服乾かないわ…」
そういうとまたくすくす笑った。
「ちぇっ…」
でも、ニノとまだ一緒に居られるから嬉しいのはナイショ。
また懐中電灯の灯りを頼りにリビングに戻る。
しょうがないから、カーテンを開けてちょっとでも明かりを入れる。
閉めてるよりは、マシってくらいだけど。
ソファに座ると、俺は松潤のくれた小袋をニノに見せた。
「ねえ、これ、松潤がね俺にくれたの」
途端にニノの顔が鬼のような形相になった。
「えっ?えっ?なに?これ、なんなの?」
「あんた、これが何か知らずに持ってきたの!?」
「え?うん」
なんだろ、俺、なんかまずいことしたの?
「なにかわかんないって松潤に言ったら、カズに聞けって言うから…」
「あんのやろ…」
ごめんなさい。こわいです。
「え?あの…ニノ、これ…」
「で?松潤は、なんて言ってあんたに渡したの?」
「え?痛くならないからって」
ニノの血管がキレる音がしたかと思った。
そのまま俺の意識はブラックアウトした。