第6章 アップル・グリーンscene1
なんだか柔らかいものが頭の下にある。
気持ちいい。
手を伸ばすと、その手を握ってくれる手があった。
あったかい。
更にもう片方の手を伸ばすと、もっとあったかい塊があった。
そーっと腕を伸ばして、その塊に腕を巻き付ける。
ふわふわして気持ちいい。
俺はその塊を手放したくなくて、ぎゅっと抱きつく。
おしりのほうが、ジンジン冷たくてなんだか逃げ出したい。
でもこのあったかい塊を手放したくない。
うーん…うーん…
突然、ビシっと眉間に衝撃が走った。
「相葉さん?」
声の主はニノだった。
ビシッの主もニノのデコピンだった。
あっ!俺、ニノんちいるんだった。
「起きた?なんか唸ってたけど大丈夫?」
気が付くと、俺はニノに膝枕されてニノに抱きついてた。
右手はニノに握られて。
腰には氷嚢載せられて。
「あっごめん、俺。うとうとしちゃって…」
「…よく寝れた?」
そういうと、俺に柔らかく微笑み掛けてくれる。
お風呂から上がって、髪も乾かしていない。
濡れた髪の間から見える目が、なんだかとても色っぽかった。
なんだか眩しくて、俺は目を逸らした。
「うん…よく寝たよ?」
「そう。よかった」
そのまま離れたくなくて。
暫く腰の痛いフリしてた。
ニノの膝枕で、俺は夢心地だった。
ニノは、俺の手を玩ぶのに熱中している。
指の腹に顔を書いてキャッキャと喜んでいる。
なんか、幸せだなぁ…
このまま時が止まればいいのに。
その時、突然明かりが消えた。
「えっ!?なに!?」
「停電!?」
外を見ると、どこも明かりが点いていない。
「ちょっと待ってて」
ニノが離れていく。
ああ…膝枕…
戻ってくると、手に懐中電灯を持っていた。
「スマホ。どこいったかな」
「あっ、じゃあ俺の」
そういって、俺のカバンからスマホを取り出す。
その時一緒に、松潤に貰った小袋も出てくる。
あ、忘れてた。
後で聞こう。
「はい、これ」
ニノはスマホで色々調べていたみたいだが、諦めた表情になった。
「なんか、大規模停電みたい」