第6章 アップル・グリーンscene1
俺はつんつるてんの服のまま、ニノのうちのリビングに居た。
ニノはまだ思い出したように吹き出すけど、しょうがない。
「そういえば、相葉さん飯たべたの?」
「ん。撮影終わりに軽くケータリングあさってきたから大丈夫」
「そう」
そういうと、俺のほうに缶コーヒーを投げてきた。
「じゃあそれでも飲んでおいて」
そういってニノは風呂場のほうに消えた。
「んー?ニノぉー?」
呼びかけても答えてくれない。
なんだろ。なにしてんだろ。
しばらくして戻ってくると、俺にバスタオルを差し出した。
「風呂はいってこいよ」
「え?いいよ。家帰ったらはいるから」
「おまえ、髪の毛も泡まみれだったんだぞ?」
「えっ!?マジで!?」
「早く落とさないと、痒くなんだろ?」
「えー…マジかぁ…」
「ほら、手貸して」
そういうと、俺の腕を取って立ち上がらせてくれた。
「だっ、大丈夫なのに…」
そうはいっても、俺の腰、ジンジンして、まだ痛い…
「ふーん…」
そういうと意地悪そうな顔になって、俺の腰をビシっと指で弾いた。
「あっいってーーーーー!!」
「ほら、言わんこっちゃない…」
いや、何も言ってない…ニノ…
涙目の俺を、ニノは風呂場まで連れて行ってくれて。
「あんま、温めんなよ?」
そういうと、脱衣所のドアを閉めた。
一人で風呂に入っていると、痛みがどんどん増してきた。
やっぱり温めないほうがいいみたい。
うーん、うーんと声がでてしまう。
なんとか全身洗い終えて脱衣所に出ると、新しいスエットが置いてあった。
これはサイズがぴったりで。
「ニノ、ありがとう」
思わず小さな声でつぶやく。
なんだか知らないけど、そのスエットを着た自分をギュッと抱きしめた。
洗ってあるはずなのに、ニノの香りがした。
「いいにおい…ニノのにおいだ…」
なんだかくすぐったい。
髪を拭いて、脱衣所のドアを開けると、ニノが立っていた。
「うわっ…びっくりしたぁ」
なんだかニノは赤い顔をしている。
「ほら、いくぞ」
そういうとまた俺の腕を取って、リビングまで連れて行ってくれた。
「氷嚢、作っておいたから。タオルひいて、それで暫く冷やしてろ」
そういうと、風呂場へ消えていった。