第6章 アップル・グリーンscene1
「と、とりあえず、後で洗濯機の使い方、教えて?不便でしょ?」
「いいよ。熱下がったから。自分でやるよ」
「だめ。治り掛けが一番大事なんだから。たくさん汗かいてあったかくして寝るんだよ?」
「もー、かあちゃんかよ…」
作ったご飯を出す。
ほかほかと湯気のあがった食事をみて、俺の顔を見るニノ。
「ん?なに?」
「…なんでもない」
そういいながら、ふーふーしておじやを食べる。
俺は、それを隣に座って見ている。
いつもならここでニノの鉄拳がとんでくるんだけど、今日はなんだかそんな気配もなく。
俺が眺めるのを許してくれてる。
嬉しい…
「ごちそうさまでした」
ちゃんと手を合わせてくれる。
「はーい。じゃあ後は寝るんだよー?」
キッチンに行って洗い物をし終わる。
「洗濯、勝手にやっちゃっていい?」
キッチンから声を掛ける。
「いいよー」
ちょっとふてくされた声が帰ってきた。
俺は洗濯機を探し当てた。
そこには大量につっこまれた服があって。
より分けて二回、回すことにした。
クイックルワイパーがあったので、ついでに廊下のお掃除もしておいた。
リビングへ行くと、まだニノがテレビを見ていた。
「ちょっと、まだ起きてるの!?寝なきゃだめだよ!」
「もう、今日寝すぎて身体痛いんだよ…」
も~。
俺は勝手に寝室へ行って、タオルケットを持ってきた。
「じゃあこれだけはちゃんと掛けて?」
「あっ!おまえ勝手に!」
文句をいうニノに構わず、ばさっとタオルケットを掛ける。
「じゃあ、おかあさんの言うことききなさいっ!」
そういうと、シュンとした。
「はーい…」
タオルケットで顔を半分隠して、ニノはもそもそと大人しくなった。
「いいこです。かずくん」
「ばっか…」