第6章 アップル・グリーンscene1
ニノはソファに転がって、テレビを見てた。
「ニノ~。もうすぐできるよ~」
「ありがと」
こっちを見てもくれない。
でもいつものことだからきにしな~い!
「今日はねえ、撮影所で撮りだったよ」
「知ってる」
「あ、そうだ。リーダーから本預かってきたよ」
「あ、ほんと?」
そういうと、嬉しそうに身体を起こした。
なんだよっ。
なんか、もやっとする。
ちょっと覗き見してしまった、薄い文庫を渡す。
ニノはそれを手に取ると、愛おしそうに開いた。
「…これね、俺が小学生のときじいちゃんが俺にくれた本なの」
「そうなんだぁ」
ニノが自分のこと喋ってくれて、俺はすごく嬉しかった。
「誕生日にね、くれたの。もう絵本はなくしちゃったけど、この前、本屋で文庫見つけて、思わず買ったんだ」
「そっかぁ。思い出の絵本なんだ」
「相葉さんも読む?」
「え?いいの?」
「うん。風邪治ったら貸してあげるよ」
そういうと、ニノはものすごく優しい笑顔を見せた。
俺はぽやっと見とれた。
「ありがとう。待ってる」
なんだか恥ずかしくなって、顔が真っ赤になったから、下を向いた。
「あっ!ちょっとご飯みてくるねっ」
真っ赤になった顔をみられたくなくて、キッチンへ逃げた。
キッチンで最後の仕上げをして、おぼんに乗せてリビングへ持っていく。
「ニノ~できたよ~」
呼びかけながら向かうと、ニノが上半身裸だった。
「はうっ…」
なんだか知らないがすごく動揺した。
こんなの…見慣れているはずなのに…
俺がどぎまぎしていると、俺が買ってきた買い物袋からTシャツを取り出し着替え始めた。
「え?Tシャツの替えないの?」
「洗濯してないからないの」
「もー!言ってよ!洗濯くらいするから!」
「いいよ!そんなことまでさせらんないよ」
「だって、ボタンポチって押すだけじゃん」
「だってその後たたんでクローゼット入れるの面倒じゃん」
「だから、そこまでやってあげるよ」
「いいって。もう…」
「だって俺は日立だよ」
「あんた炊飯器だろ!」
「ぐぬぬ…」