第6章 アップル・グリーンscene1
~そして時はまた戻る~
マネージャーからニノの部屋の鍵を預かったけど、やっぱりここは礼儀として。
下のオートロックの鍵は勝手に開けたけど、部屋はインターホンを鳴らす。
ピンポーン
…でてこない。
ピンポーン、ピンポーン
……でてこない。
ピポ、ピポ、ピンポーン
………まさか、倒れてるんじゃ…!
その時、ガチャっとドアが開いた。
ニノがものすごーーーーく不機嫌な顔で立っていた。
「あっ、ニノぉ!」
俺は嬉しくて、めっちゃ顔がにやけた。
次の瞬間、バンっとドアを閉められた。
「あああっ!ニノぉ!開けてよぉ!」
泣きそうになる。
やっとここまできたのに。
やっとニノに会えたのに。
「ニノぉ…」
本当に泣きそうになってると、またドアが開いた。
「鍵、開いてる!」
え?そうなの?気付かなかった。
「入れば!?」
キレッキレだけど、気にしない。
「おじゃましま~す!」
いそいそと上がりこむ。
ニノはずんずん歩いて行って、全然俺を待ってくれない。
でも気にしない。
いつものことだもん!
「ねーねー!熱どう?下がった?」
「下がった…」
ぶっきらぼうに答える。
あ、答えてくれた。嬉しい。
「あ、これね、買ってきたよ?」
買い物袋を差し出す。
「ありがとう…そこおいといて」
そういって、リビングのテーブルを指す。
「あ、もしよかったらなんか作ろうか?材料買ってきたんだ」
「えぇ?」
ものすごく怪訝な目で見られた。
「あ、ごめん。帰ったほうがいい?」
「…いーよ…」
「じゃあ、作ってもいい…?」
伺うように見ると、ニノは顔に手をついて溜息をついた。
「もう、しょうがないなぁ…」
「やったー!俺がんばるっ!」
そういうとキッチンを借りて早速ご飯を作る。
きのこのおじやと、冬瓜の煮たの。
簡単メニューだけと、身体にはとってもいいって父さんが言ってた。
ことこと冬瓜を煮ている間に、お米を洗ってお鍋で炊く。
その間にきのこを煮て、下味をつける。
たったこれだけ。かんたーん!
後は炊けるのを待つだけだから、ニノがいるリビングに行った。