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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第6章 アップル・グリーンscene1


撮影が終わって、早めに撮影所を出る。

適当な所でおろしてもらって、送迎車は撮影所に帰っていった。

俺はタクシーを拾って、ニノの家の住所を告げると、座席に深く座る。

松潤に貰った小袋を見る。

一体これ、なんだ?

「ジェリー」って書いてあるけど。

藤島?

や、そりゃ本気でシャレにならない冗談だ。

痛くないって、なにが?

毛でも剃るのか?

色々わからなくて、松潤に聞いたけど、笑って答えてくれない。

最終的に、

「カズに聞いて」

といって、投げ出されてしまった。

仕方ない。ニノにきいてみる。


それから、リーダーから預かった薄い文庫本を開いてみる。


タイトルは「ぼく」。

絵本かな?

そっと本を開く。


『ぼくにはなにかがたりない
 
 でもぼくはそれが
 
 なにかわからない

 だからぼくは旅にでる

 たりないぼくをさがして

 とことこ とことこ

 あるいていくよ

 てくてく てくてく

 あるいていくよ

 ぼくのたりないかけらを探して』


…最初の1ページだけ読んで、本を閉じた。

なんだか、ニノとリーダーのこそこそ話を覗き見した気分だった。


俺とはこんな話、普段しないのに。

リーダーとはこっそりこんな話するんだ。


なんだか胸にもやもやしたものが広がった。


『ぼくにはなにかがたりない』


タクシーの車窓から、夕暮れの街をぼけっと眺めた。



ニノのうちの近所でおろしてもらうと、買い出し。

予めマネージャーが足りないものを聞いておいてくれたから、それを買うだけ。

レトルトのおかゆ。

Tシャツ。

のど飴。

ポカリ。

チンごはん。

なんか、栄養のないものばかりだったから、なんか作ってあげようと思って、野菜なんかも買った。

うん!ばっちし!看病!!

俺はとびあがるような足取りで、ニノのうちに向かった。


『てくてく てくてく あるいていくよ』 

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