第5章 退紅(あらそめ)scene1
意識を失って、完全に脱力している身体を引き起こした。
智くんを抱えて、腕を頭にくぐらせると、俺と向かい合わせに抱き上げる。
そのまま、ローションを塗った俺自身を智くんの中に沈めこむ。
「あうっ…」
ビクンと反り返り、智くんは無理やり意識を引き戻された。
「あ…あ…翔くんっ…」
「ああ、智。気持ちいいよ。智の中」
「ああっ。も、ダメっ…翔くっ…」
ビクンビクンと反り返りながら、智くんの中は俺を受け入れる。
ぎゅっと締まったかと思うと、また智くんは果てた。
俺はそれに構わず腰を打ち付けた。
「ああっ…ダメっ…動いちゃ…」
口の端からよだれを垂れ流しながら、弱々しい力で俺を押して、それでも最後の抵抗をする。
「も、だめだよ。智。もう、加減できないっ…」
智くんの中に入っていることが俺を夢中にさせていた。
熱い中は、俺をねっとりと包み込んで離さない。
「ああっ、智。智っ…気持ちいいよ」
「はっ…ああっ…翔くんっ…」
どちらからともなく、目を合わせてキスをした。
そのキスが深いキスになる前に、どちらからともなく果てた。
そのまま、疲れ果てて智くんは眠った。
自分のものか、俺のものかわからない体液にまみれて、疲れ果てて眠っている。
俺はその手をしばっているものを解き、バスルームへ抱きかかえて行き、風呂に入れた。
綺麗に身体を洗う。
後ろの口もきれいにする。
中に指を入れると、ドロっと俺が出てきた。
それを眺めていると、おかしくなってきた。
くっくっと笑いが出てきて止らない。
それでも智くんは目覚めない。
深い眠りの淵に居た。
風呂からあがると、身体をバスタオルで拭き、バスローブを着せて、リビングへ抱きかかえていく。
寝室のシーツを取り替える。
その下に引いてあった防水シーツも新しいものに変える。
またリビングへ戻った。
智くんは目覚めていて、とても気だるそうに起きがっていた。
「智、大丈夫?」
俺はその手を取ると、指の一つ一つにキスをした。
目が虚ろで、力が入らないのかすぐにふらつく。
そして震える唇でこういった。
「翔く…ん?俺のこと、許してくれる?」