第30章 マロンscene2+green
◆green side
熱い。
なんでこんな脇腹が熱いんだろう。
そっと手を当てると、ぬるっとした。
手のひらを見てみたら、そこには血がついていた。
なんか、人ごとのように感じた。
ドラマの血糊ってそっくりなんだなとか。
振り返ったら、にぃが手にナイフを握ってた。
幽霊みたいな顔して立ってるからおかしかった。
「じゃあね。にぃ。バイバイ」
そう言って玄関を開けようとした。
歩き出した瞬間、猛烈な痛みがきてドアに寄りかかった。
そのままたたきにしゃがみこんだ。
ドアが開かない。
急に外が見えた。
ドアが開いた。
俺はドアと一緒に廊下に投げ出された。
廊下の蛍光灯が眩しかった。
誰かあの電気消して…
そう思ってたら、潤とニノの顔が見えた。
「あれ?どうしたの?」
そう笑って問いかけた。
「今、ちゃんと別れたからね」
にっこり笑えたかな。
俺、ちゃんと笑えたかな。
心配かけないように。
血、出てるから…