第30章 マロンscene2+green
◆green side
感情がまるでなくなった。
仕事の時は無理できた。
でも潤の家に帰ってしまうと、俺は感情の殻に閉じこもることが多かった。
でも、二人が愛し合っている姿を見ると、俺の心は満たされた。
それは別にセックスの時だけじゃなくて。
潤がニノのことを愛している姿。
ニノが潤を愛している姿。
どんな姿でも俺は満たされたんだ。
不思議な感情だった。
朝、潤が俺たちにトーストを焼いてくれる。
その皿を受取るニノが、潤に微笑みかける。
その姿をみているだけで幸せだった。
そんな時だけは。
俺は忘れられていたのかもしれない。
あの人の事を。
日々はゆっくりと過ぎていった。
俺達の間には、あれからなんの進展もない。
電話やメールもこなくなった。
時々、達也くんからは電話がくるけど。
潤とニノといる日々はとても穏やかで。
二人とも、俺の傷を癒やそうとしてくれてるのがわかって。
俺だけを見ててくれて。
幸せだった。
俺はそんな時間に浸りきっていた。
なんにも考えなくてよかったから。