第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
雅紀が俺たちを見て、微笑んでいる。
それはとても幸せそうなもので。
でも俺にはとても悲しいものにみえてた。
雅紀の本当に楽しそうな笑顔を知っているから。
俺の身体が二つあったらいいのに。
和也を愛する身体と、雅紀を愛する身体。
二人とも、俺にとって大事で。
和也のことは愛している。
雅紀は愛なのか恋なのかわからない。
大事な存在。
もう松にぃのところに帰す気はない。
雅紀が帰りたいと言っても。
俺と和也は帰さないだろう。
雅紀がぽつりと、松にぃのことを言った。
浮気はこれがはじめてじゃないって。
…もう、俺達の大事な雅紀を帰せないと思った。
和也もそう思ったと思う。
もし松にぃが取り返しにきても。
俺と和也は絶対にそれを阻止するだろう。
絶対だ。
今はただ、雅紀が癒えるまで。
それまではこのまま、ゆっくりと過ごそう。
そう思っている。
ソファに座る雅紀に手招きする。
雅紀は立ちあがって俺達の傍にくる。
ラグに座ると、俺は和也と一緒に雅紀を抱きしめる。
そのまま三人でテレビを見る。
これが俺たちの日常になりつつある。