第5章 退紅(あらそめ)scene1
そのまま、ベッドへと手を引かれて、倒れこむ。
智くんがバスローブを脱いで、裸になる。
そのまま俺の胸に跨って乗ってくると、彼自身を握ってこういった。
「翔くん、舐めて」
それはとても幻想的で淫靡な風景だった。
少年のような身体をしているのに、彼自身は立派な大人のモノで。
俺はそれを咥えて、ひたすら愛撫を加えて歓ばそうとしている。
何で俺がこんなことをしているのかわからなかったけど、でもこの時間を終わらせたくなかった。
ただ、智くんを気持ちよくしたかった。
「あっ…ああ…翔くん…イイよ」
俺の上で、身体を捩ってその快感を伝えてくる。
俺の口からぐちゃぐちゃと音が聞こえる。
口の中に、智くんの味が広がる。
なんとも言えない背徳的な気分で、俺はそれを飲み込む。
「ああっ…しょ、くん…」
切ない喘ぎが聞こえてくる。
もう達しそうなんだろう。
「ああっ…んっ…口に出していい?」
頷くと、安心した笑顔になる。
「飲み込まないでね?」
なんで念を押されたのかわからなかったが、頷く。
「あっ…あ…あああっ…翔くっ…」
そういうと、身体を仰け反らせて智くんは俺の口の中で果てた。
口の中に、初めての味が広がる。
これが大野智の味。
でもすぐに、それは智くんの手によって、俺の口から出ていかされた。
「こんなの、飲んじゃダメだよ?」
そう言いながら、ティッシュに出されてしまった。
俺のは飲んだくせに…
そのティッシュを捨てると、智くんはバスローブをはおり部屋を出て行った。
取り残された俺は、暫く余韻に浸っていた。
一体、今起こっていることは夢じゃないんだろうか。
ほっぺたを抓ってみる。
痛い。
現実だ。
暫く待つと、智くんがシャンパンを持って現れた。
グラスに注ぐと、口に含み、俺に流し込んできた。
「お口、消毒ね」
そういうと、3口俺に飲ませてくれた。
「俺も智くんに飲ませたい」
そういうと、グラスを俺に渡してくれた。
ベッド際に座っている俺の膝に座ると、俺の首に両手を巻きつけてくちづけてきた。
「ちょうだい?」
そういうと、唇を半分開けた。
その目は俺をじっと見て、ねっとりと俺を舐めまわすようだった。
夢中でシャンパンを口に含んで、智くんに飲ませる。