第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
「潤…」
和也が雅紀越しに俺に話しかけてくる。
「なんでここにいるの…?」
遂に来てしまったと思った。
キスマークの言い訳も、ここにいる言い訳もなにもできない状況で。
俺はなにも答えられなかった。
「…相葉さんと寝たの?」
覚悟を決めるしかなかった。
この訳の分からない状況を、なんと説明したらいいかわからなかった。
事実をいうしかなかった。
「うん…寝た…」
「…そっか…」
あっさりしていた。
驚いて和也をみると、気の抜けた顔をしていた。
「あ…」
俺と目が合うと、和也は目を逸らした。
なんで?とかどうして?とか聞いても来ない。
「仕方ないんじゃない…?」
「え…?」
そういうと、和也まで黙りこんでしまった。
そのまま雅紀を見つめている。
雅紀がこんな状況だから、許してくれるとでも言うのだろうか。
俺は和也の心がわからなくて戸惑った。
迷路に入り込んだみたいな気分だった。
和也の手が俺に伸びてきた。
俺はその手を掴んだ。
「離さないで…」
俺はその手をぎゅっと掴んだ。
愛する人の手を。