第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
その日の撮影は全然集中できなかった。
雅紀が近づくだけで、心臓がおかしかった。
ドキドキしてる…?
いや、違う。
なんだか和也の顔が浮かんできて、悪いことをしている気分。
背徳感。
でも雅紀が俺に甘えるような視線を送ってくると堪らない。
もっとその目で見て欲しくなる。
ふたりでくっついて撮影している間、本当にヤバかった。
雅紀から漂ってくる香水の香りが、俺を刺激した。
顔が赤くなってないだろうか。
平常心を装うだけで精一杯だった。
撮影が終わったら、雅紀が座り込んでしまった。
マネージャーが慌てて駆け寄ってきた。
今日は雅紀は少し熱があるという。
だから今日は運転してこなかったのか…
俺はその日はもう何もなかったから、雅紀を家まで送って行くことにした。
晩飯でも作ってやろうと思った。
決して、ヘンな下心なんてなかった。
雅紀が助手席で眠り込んでしまったので、そのままスーパーへ買物へ行った。
食材を買い込んで、車に戻るとまだ雅紀は眠っていた。
身体を縮めて丸め込むようにして眠っていた。
かわいかった。