第30章 マロンscene2+green
◇マロンside
雅紀が俺の手を握って離さない。
ぐっとソファに沈み込んだ。
誰にも見えないように、雅紀は俺の手を握っている。
少し、震えている。
一体なにが起こったのか最初はわからなかった。
でも、雅紀の手の熱を感じていたら、だんだん状況が飲み込めてきた。
俺から離れたくない…?
雅紀はほとんどの体重を俺にかけている。
べったりと寄りかかられて、まるで恋人同士みたいに。
そう考えたら顔が真っ赤になった。
やばい。
何考えてるんだ俺…
「…雅紀…?」
小さく呼びかけてみた。
「…なに…?」
起きてる。
なんで…?なんでこんなことするの…?
「どうしたの…」
「わかんない…」
そう言って雅紀は顔を俺の肩に押し付けた。
その仕草が、とてもかわいかった。
やばい…
俺は目を逸らした。
「別に…いいけどさ…」
ぶっきらぼうにそう言うしかなかった。
「ありがと…潤…」
雅紀はそう答えて、また俺にぎゅっと顔を押し付けた。
なんか…いちいちかわいい…
そのまま俺は、諦めたように前を向いた。
動くことができなかった。